トライアスロン選手は口々に言う。「僕らがレースに専念できるのも、全ては影で支えてくれるサポーターさん、ボランティアスタッフさん、そして友人、家族や島の人たちの応援があるからこそです。」と。主役を支える縁の下の力持ちがいるからこそ、過酷なレースの中にも笑顔があるのかもしれない。
AM5:30
スタート地点の前浜ビーチのとある波打ち際。神女(カミンマ)による安全祈願のカンニガイ(神願い)が執り行われる。(神女は宮古方言で「カミンマ・ツカサンマ」と読みます。司女(ツカサメ)という言う方をされる方もいます。)
今回のトライアスロン大会は天候不良のためデュアスロンに変更されたが、レースの安全を神様に祈願し、参加者全ての人が神様に見守られる。線香・酒・米などなど、一番座のお供え物が用意されている。
神女が神唄を歌う時、不思議な懐かしさが心を打った。今でも神の存在がかけがえのないものなのである。
コースの安全確認のため白バイが伊良部大橋を通る。この時点での天気はすでに荒れていて、橋の上は進むごとに風向きが変わる強風に煽られる。伊良部大橋は2015年1月31日に開通し、31回大会にして初めて宮古島と伊良部島を繋ぐ橋がコースとして採択され、危険なレースが故にやはり慎重に検討しなければならない。
トライアスロンの主役、選手を支える縁の下の力持ち。
「ワイドー!ワイドー!!」
スタート地点から応援幕がいたるところで掲げられる。各選手を励ますもの、すべての選手に向けての応援メッセージなど、そのほとんどが手作りによるもので、雨の中でもこの応援が選手の背中を後押しする。この応援幕はレース中のいたる所、エイドステーションなどでも見られる。
「ワイドー!ワイドー!!」
地元の子供たちによる応援。遠くから聞こえる太鼓の応援の音がバイクレースのスタートの直後の選手たちを鼓舞させる。その力強い音にペダルを踏む足に力がこもる。
「ワイドー!ワイドー!!」
東平安名崎付近のバイクの折り返し地点ではテッポウユリが選手たちを歓迎。宮古島の自然の中を自由に走れるのも、トライアスロン宮古島大会の醍醐味。
そしてクイチャー愛好会によるクイチャーで選手たちを後押し。上野字新里付近では獅子舞も見られる。選手たちは右手を上げて応援に答える。
「ワイドー!ワイドー!!」
池間島手前の島尻・狩俣エリア。宮古島のトライアスロンはその名のとおり、宮古島全域に渡る島全体を使ったレース。いたるところで応援のテントが立ち並び、太鼓や声援で選手を応援する。
「ワイドー!ワイドー!!」
第二ランのエイドステーション。広場ではやはり踊りによる応援。選手たちに向けて「ワイドー!ワイドー!!」という応援の中に「かっこいいよー!」という声が。その声に選手たちに笑顔が戻り、休憩で歩いている選手たちはこの前で再び走り出す。ここはおばあ達が作る「癒しのパワースポット」に違いない。
「ワイドー!ワイドー!!」
市街地では地元の中学生によるブラスバンドの応援。公設市場前の交差点でランの選手を激励する。宮古まもる君も選手たちの安全を見守る。
衣装を着て太鼓をたたいて応援する人や、JTAのCAさん達もエイドステーションで選手たちにドリンクや水を手渡す。栄養補給も選手たちの大事な活力源なのだ。
「ワイドー!ワイドー!!」
ゴール地点近くの軒先では有志のライブが行われ地元の中高生、宮古島ローカルのアーティストたちが歌で背中を押す。選手たちにラスト数kmの最後の力を呼び覚ます。残すところあとわずか。本当は上がらないはずの腕に力が戻り、声援にこたえるハイタッチ。
宮古島生まれの食いしん坊。体重100キロ超級。泡盛大好きパーティ大好きなキュートなFAT野郎。FAT KAZYA BANDの「パーティーをはじめようぜ!」で選手たちもニヤリと両手を上げてガッツポーズ!(文句は引用です)
「ワイドー!ワイドー!!」
ゴールのテープ前では応援に駆けつけた家族や地元のエイサーチームによるラストスパートの応援が。ゴール会場の運動公園は、制限時間のPM20:30まで、熱気に包まれた。
ふれあいパーティー(後夜祭)
後日、宮古島市総合体育館では表彰式が執り行われた。その後ふれあいパーティーでは選手たちは泡盛やビールなどで乾杯し、料理を囲んで和気あいあいとした雰囲気の中、舞台で繰り広げられる余興を楽しんだり、戦友とレースを振り返ったり、次回のトライアスロンでの再会を誓い合う姿などが見えた。そして、やはり、宮古島のトライアスロンの後夜祭(実際にはPM17:00)にはクイチャーなのである。
スタートから選手たちはこの「ワイドー!」と言う言葉に後押しされ、ゴールを目指す。そして各ポイントでのボランティアスタッフや地元の人によるクイチャーや声援などなど、この宮古島のトライアスロンは人の温かさに後押しされ、レース参加者だけでなく、見守る全ての人たちが作り上げるトライアスロン大会なのだ。
来年はあなたが、この宮古島の地でトライアスロンを楽しんでみませんか?